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健康志向やダイエット志向が広がりを見せていて、スーパーやコンビニでもシュガーレスやノンシュガーの表示をよく見かけるようになっています。このような表示について、正確には何を意味しているかご存知でしょうか?なんとなく「砂糖が入っていないってことかな」という認識はあるかもしれませんが、詳しく表示が意味することを知っている方は少ないかもしれません。
実は、このような表示の意味する内容は、時代の流れによって基準が変化してきました。
1.「ゼロ」表示ができるもの
このような表示が始まったときは法的には明確な基準はなく、各メーカー独自の判断でパッケージなどに記載がされていました。そのためその表示が、具体的に何がどれくらい含まれているかの基準が決まっておらず、その商品を購入する方々はどのような基準で選んでいいか分かりませんでした。ですので、基準を統一するために平成7年、栄養改善法上に「栄養表示基準制度」が設けられました。(平成14年の栄養改善法廃止に伴い、現在は健康増進法に移行しています。)
この規定により、「シュガーレス」「ノンシュガー」「無糖」「糖類ゼロ」などの「ゼロ」を表すことができる表示の基準が決まりました。
何がゼロか?というと、糖質がある一定の基準以下だと、実際には規定以下の量が含まれていても糖質はゼロという表示ができることになったのです。
具体的には、食品100gもしくは飲料100mLに対し、単糖類または二糖類という糖類が0.5g未満であればゼロの表示が可能になりました。ゼロだからといって、何も含まれていないわけではなく糖質は含まれているんですね。
では糖質とは何を意味するのでしょうか。
2. 糖類ってなに?
飲食物に含まれる糖類とはどんなものでしょう。
糖類と似たようなことばとして、糖質がありますがどう違うのでしょうか。
糖類と糖質はことばでは少しの違いですが、内容としてはとても大きな違いがあります。
三大栄養素のひとつである炭水化物は、糖質と食物繊維からできています。
つまり、「炭水化物=糖質+食物繊維」ですから、
「糖質」とは「炭水化物から食物繊維を除いたもの」をまとめた呼び方になります。
もう少し細かく考えていきます。
専門的な話になりますが、この「糖質」には単糖類(ブドウ糖や果糖など)、二糖類(砂糖、麦芽糖、乳糖など)、多糖類(オリゴ糖など)、糖アルコールなどというものがあります。
糖質と一言でいっても、砂糖だけでなくいろんな種類のものがあるんですね。
そして「糖類」というのは単糖類、二糖類をまとめた呼び方です。
つまり、ブドウ糖や果糖(果物・ハチミツの甘味)、砂糖、母乳や牛乳の成分である乳糖などの糖質が、食品100gもしくは飲料100mLに対して0.5g未満量以下であれば、「シュガーレス」「ノンシュガー」「無糖」「糖類ゼロ」などと表示ができるのです。
全く入っていないわけではないことが分かります。
3. 糖類以外に甘味料として何を入れているの?
砂糖などの糖類が規定の範囲内しか入れられないと、飲食物として甘味が足りないこともあります。食べたり飲んだりして美味しくないものは商品としてはなかなか売れませんし、会社としてもその商品を売り続けていくことはできません。では、無糖などと書かれている飲み物でも、甘みを十分に感じられて美味しいものには何が含まれているのでしょうか。
現在使用されている甘味料は、大きく分けると、糖質系の甘味料と非糖質系の甘味料の2種類に分けられます。
【糖質系甘味料】
砂糖、でんぷん由来の糖、その他の糖、糖アルコールというものがあります。
①でんぷん由来の糖、その他の糖
でんぷん由来の糖には、ブドウ糖や果糖などがあり、その他の糖には乳糖のほかにオリゴ糖と呼ばれるものがあります。オリゴ糖の多くは甘味やカロリーが低く、胃や小腸で消化されずに大腸にまで達してビフィズス菌の栄養源になります。またむし歯の原因にもなりにくいという特徴があります。
②糖アルコール
天然のものもありますが、一般的には工業的に作られています。ソルビトール、マンニトール、マルチロール、還元水飴などがあります。みなさんもよく聞かれてことがあるキシリトールもこの一種です。
タンパク質やアミノ酸と加熱しても変色しないため、加工食品によく使用されます。また、消化・吸収されにくいので、低カロリー甘味料としても使用されています。
多量に摂取すると、お腹が緩くなることもあります。
【非糖質系甘味料】
①天然甘味料
植物の葉や果実に含まれる甘味成分を抽出した甘味料です。ステビアや甘草(グリチルリチン)などがあります。
②人工甘味料
化学合成によって作られた高い甘味をもつものです。低カロリー甘味料としても使用されています。これは食品衛生法に基づいた指定の添加物です。
アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、サッカリンナトリウムがあります。
このなかでオリゴ糖や糖アルコール、非糖質系甘味料は、口の中のばい菌に利用されない、あるいはされにくい性質を持つものが多いため、むし歯になりにくい機能を挙げたチューインガムやキャンディ、歯磨き剤にも使用されています。
特に、糖アルコールの一種であるキシリトールは砂糖と同程度の甘さがあり、他のむし歯を起こす可能性のある糖を入れなくても十分な甘みをつけられるため、よく用いられています。
4. そのほかの表示
「糖類を含まない」といった表示でなくても、通常よりも糖類を控えた商品も多くあります。
栄養表示基準によると以下のように決まりがあります。
「低」「控えめ」「少」「ライト」「ダイエット」「オフ」などの表示は、食品100g当たりの場合は糖類5g未満、一般に飲用に供する液状での食品100ml当たりの場合は糖類2.5g未満(2.5%以下)だと可能です。
そして、「甘さがひかえめ」などは栄養表示基準にも基準はありません。
どうしてかというと、甘さというのは味覚に関する表示であって、栄養表示を目的としたものではないからです。甘さなどは個人によって感じ方が異なり、糖類の量を示す指標にはならないので明確な基準はありません。
それではどのようなときに「甘さひかえめ」の表示がなされているのでしょうか。
おそらく多くの場合は、そのメーカーの通常の製品よりも糖類の添加量を少なくしていることを表しているものだと考えられます。そしてその特定の基準はありません。
「甘さ控えめ」は「糖類控えめ」とは限らず、紛らわしい表現ですね。
5. OCEAN歯科からのメッセージ
これらのことより、ノンシュガーやシュガーレスなどの糖類を含まないという表記があるからといって、むし歯の原因となる糖類が全く含まれていないわけではないことが分かります。つまり、これらの飲食物を摂取した場合、量なども関係してきますが、むし歯にならないわけではないのです。
キシリトール入りと大きく表示されているお菓子でも、商品によってはむし歯を起こすものも含まれているものもあります。キシリトールそれ自身にはむし歯を起こす能力がないだけであり、むし歯の発生を防ぐ作用があるわけではありません。ですので、キシリトールが含まれている商品だからといって全く安心なわけではないのです。
また、むし歯を誘発するという意味では含まれる成分からだけでは判断が難しいこともあります。成分は同じでも形状によってプラーク(歯垢)への影響は異なるため、成分表示だけでは「歯に安全」、「う蝕になりにくい」というような判断もできません。歯にとって安全であるかどうかの判定は、成分でなく食品全体として考える必要があります。
日本で食品全体としてむし歯のことを気にせずに安心して飲食できるという試験を行っているものに、厚生省が行っている特定保健用食品と、国際組織であるトゥースフレンドリー協会が認定した「歯に信頼マーク」付きの食品があります。このような表示を見ながら選んでいくのも一つの方法ですね。
日ごろ楽しむお菓子なども「ゼロ」や「控えめ」ということばを鵜呑みにせずに、毎日の歯みがきやフッ素の活用、定期的な検診でむし歯を予防していくことが1番大事なことです。