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むし歯予防にフッ化物が有効なのは皆さんご存知でしょう。
歯ブラシにつける歯みがき粉について、身体への安全性を考慮した上での新指針が発表されたので、今回はどのように変わったのかについて詳しくご説明していきます。
【フッ化物配合歯磨剤の推奨利用法】
2023年3月3日に 一般社団法人 日本口腔衛生学会、一般社団法人 日本老年歯科医学会、公益社団法人 日本小児歯科学会、特定非営利活動法人 日本歯科保存学会の4つの学会が合同で「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」について声明を出しました。
その背景として、日本の子どもの虫歯は経年的に減少傾向にあるのですが、その罹患率は他の疾患と比較してもいまだ高いこと、また成人では約3 人に1人が未処置のむし歯があること、高齢者ではう蝕経験者は増加していることなどが挙げられます。
むし歯予防として、フッ化物を使用することは 75 年以上の歴史で安全性と有効性が繰り返し確認されていて、特にフッ化物が配合された歯みがき粉(歯磨剤)は日本でも広く普及しています。
多くの方が今使用している歯みがき粉にもフッ化物が配合されているものを使っているのではないでしょうか?
今回の改訂は、フッ化物使用についての研究のアップデートや、市販の歯みがき粉のフッ化物濃度の変更、国際的な推奨の更新を受けて、日本のむし歯予防および治療を専門とする上記の4学会が合同で、現在の日本における推奨されるフッ化物配合歯磨剤の利用方法をまとめられたものになります。
【変更点】
具体的には、変更前よりも各年齢で使用できるフッ化物の濃度が変更になっています。
年齢ごとに見てみましょう。
①歯が生えてから2歳まで
(フッ化物配合歯磨剤の使用料)
米粒程度(1~2ミリ程度)
(フッ化物濃度)
変更後:1000ppmF(日本の製品を踏まえ900~1000ppmF)
変更前:500ppmF
(使用方法)
・就寝前を含めて1日2回の歯みがきを行う
・1000ppmFの歯磨剤をごく少量使用する
※歯みがきの後にティッシュなどで歯磨剤を軽く拭き取っても良い
・歯磨剤は子どもの手の届かないところに必ず保管する
※大量に飲み込まないようにするのを防止します
・歯みがきについて専門家のアドバイスを受ける
②3~5歳
(フッ化物配合歯磨剤の使用料)
グリーンピース程度(5ミリ程度)
(フッ化物濃度)
変更後:1000ppmF(日本の製品を踏まえ900~1000ppmF)
変更前:500ppmF
(使用方法)
・就寝前を含めて1日2回の歯みがきを行う
・歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出す
※うがいをする場合は少量の水で1回のみとする
・子どもが歯ブラシに適切な量をつけられない場合は保護者が歯磨剤を出しましょう
②6歳~成人・高齢者
(フッ化物配合歯磨剤の使用料)
歯ブラシ全体(1.5~2センチ程度)
(フッ化物濃度)
変更後:1500ppmF(日本の製品を踏まえ1400~1500ppmF)
変更前:6~14歳は500~1000ppmF
15歳以上は1000~1500ppmF
(使用方法)
・就寝前を含めて1日2回の歯みがきを行う
・歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出す
※うがいをする場合は少量の水で1回のみとする
・チタン製歯科材料が使用されていても、歯がある場合はフッ化物配合歯磨剤を使用する
以上のように使用するフッ化物配合歯磨剤の濃度は各年齢によって異なります。
今回の改訂に伴って、使用できる濃度がより高いものになりました。
次回、ご自分で選ばれる際には参考にされてみてもいいでしょう。
【その他の注意点】
乳歯が生え始めるのが分かったら、いきなり歯ブラシでゴシゴシみがくのではなく、ガーゼやコットンを使用してお口の中を触れるのに慣れることから始めましょう。水に湿らせたガーゼやコットンでやさしくお口の中をケアしていきましょう。
それに慣れたら、次に歯ブラシをお口に入れることに慣れさせていきましょう。はじめはびっくりした反応を示すかもしれませんが、⻭ブラシに慣れてきたら、⻭ブラシを用いた保護者による⻭みがきを開始できます。
また、フッカ物配合の歯みがき粉は効果が十分に示されている反面、子どもが誤ってチューブごと食べるなど大量に飲み込まないように注意することも重要です。安全が示されているフッ化物ですが、使用料をきちんと守らなくてはなりません。水でも塩でも砂糖でも、適量を守れば何も問題がなくても、大量に飲み込むと害が出ますよね。それと全く一緒です。フッ化物自体は悪いものではないので、使用量をきちんと守って使用していきましょう。
また、諸外国の中では水道水の中にフッ化物を配合してむし歯予防をするフッ化物フロリデーションなど全身応用を利用している国もあります。しかし、日本ではそのようなことはおこなわれていないので、フッ化物が配合された⻭みがき粉に加えフッ化物洗口や塗布の組合せも有効とされています。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
むし歯予防は、歯ブラシやおやつなどの砂糖の制限だけでは十分ではありません。
普段、歯みがきを頑張っていても完璧にみがくことは難しく、積極的にフッ化物の配合された歯磨き粉を用いるのも重要です。
フッ化物配合歯磨剤の使用についての改訂は、メリットとデメリットの両方が考慮され、双方を考慮し、国際歯科連盟(FDI)や世界保健機関(WHO)が作成したフッ化物配合歯磨剤の推奨を参考として、さらに日本の状況を考慮して今回の推奨は作成されたものです。
使用濃度と使用料を守り、むし歯予防に役立てていきましょう。