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口や歯を傷つけてしまうと、傷つけられた組織の炎症は時間を追うごとに進んでいきます。
ケガをした後に歯科医院に来られた際は、ケガをした場所はどんなところだったのか、どこをぶつけたのか、いつだったのか、などの他に、今どういう状態になっているかについて細かい診査や検査をしていく必要があります。
ケガをしたときからの経過の流れは、子どもが受けたケガの具合やどういった症状が予想されるかや重症度を判断するのにも役立ちますので、しっかりと覚えておきましょう。
1.ケガしやすい部位
口や歯をぶつけると、ぶつけた口や歯の周りの組織にも同時に影響が及びます。
最もぶつけやすい部位は上の前歯で、外傷の70パーセント以上を占めています。
もしも転んで前歯を打ったときは、前歯の見えている歯だけでなく、歯の根っこや歯の中の神経、歯の周りの骨まで傷つけられています。具体的には、歯が折れたり、欠けたり、圧迫されて血が通わなくなったりしています。
2.歯をぶつけたらどうなるか?
(1)歯の損傷
①歯の頭の部分(見えている部分)が欠けたり、ヒビが入る
明らかに目で見て分かる変化として、いつも見えている歯が欠けたり、よく見るとヒビが入っている状態です。少し欠けたくらいなら症状はないかもしれませんが、大きく欠けた場合は痛みがで出ることがあります。神経が出るくらいまで欠けた場合は、早急な処置が必要になってきます。
欠けた部分の真ん中くらいにピンク〜赤い部分が見えている場合は神経が露出しているところですので、触らないように気をつけてください。
あまりに大きく欠けたとき以外は、折れたり欠けた部分を歯科材料で覆って、感染やさらに欠けたりするのを防ぎ、もとどおりの色や形を再現していきます。
②歯の根っこが折れたり、ヒビが入っている
見た目には分かりませんが、レントゲン写真を撮って確認することができます。
折れているのが確認できた場合は、ズレた歯をもとの位置に戻して、歯と歯をくっつけて歯が揺れないように固定していきます。
しかし、ケガをした直後などは折れた部位が密着していたりすることも多く、発見しにくい場合もあります。また、しばらくして歯が揺れ始めたり、歯の位置がズレ始めてから初めて分かることもあります。
もしも根っこが折れてしまうと、次第にもともとの根っこの長さよりも短くなってきたり、歯が大きく揺れてくるので、ケガをした後も継続して経過をみていく必要があります。
③歯の頭の部分と根っこの部分がどっちも欠けたり、折れている
歯の頭と根っこのどちらも損傷している場合があります。
時間とともに痛みと揺れが強まる傾向にあります。
処置としては、②のときと同様に固定をしていきます。
(2)歯の周りの組織にまで及ぶ損傷
①脱臼
歯が通常よりも異常に揺れたり、ズレたりしている状態です。
触ったり、かんだりすると痛みが出るので、食事などに支障が出ないようにズレた歯をもとの位置に戻して固定していきます。
②陥入
歯がぶつけたりした衝撃で、もともとあった位置よりめりこんだ状態です。
乳歯の場合は、自然にもとの位置まで戻ることが多いのでそのまま経過を見ていくこともあります。しかし、次に生えてくる永久歯に影響が及ぼされている場合は、もとの位置に戻したり、最悪の場合は抜歯することもあります。
もとの位置まで乳歯が出てきた場合も、永久歯の形や位置が異常を示していないか、継続的に見守っていく必要があります。
③脱落
歯が埋まっている骨の中から抜け落ちてしまった状態です。
かなりの衝撃を受けているため、歯が埋まっていた骨にも損傷を受けています。
抜け落ちた歯は、牛乳や歯の保存液によって保存されている場合、専用の溶液で十分に洗った後にもとに戻し、固定していきます。
④歯の周りの骨が折れている
歯の周りを支えている骨が折れてしまうことがあります。
歯を可能なかぎりもとに戻し、固定していきます。
固定期間は6週間以上と長くかかることがあります。
(3)歯の神経の損傷
歯の中には神経が通っていますが、歯をぶつけたときに神経にどのようなことが起きるのかは未だに詳しくは分かっていません。
ですが、歯が折れたりすると折れた部分からばい菌が入り、炎症を起こし次第に神経が死んでしまいます。折れてなくても神経に何らかの影響が出ることがあります。
もし神経が炎症を起こして死んでしまった場合は、腐った神経を取り除かないといけないこともあります。
3.乳歯と永久歯での損傷の違い
乳歯では、こけたりすると歯が欠けたり折れたりすることは少なく、歯がグラつく脱臼をよく起こします。
一方で永久歯になると、歯の頭や根っこが欠けたり折れたりすることが多くなります。
特に8歳以降ではその比率が高くなります。
治療方法としては、乳歯も永久歯も診断が同じであれば、ほとんど変わりはありません。
4.その後によく起きること
①歯の変色
歯をぶつけると、歯の色が変わってくることがあります。
この変色は治ることもありますが、治らないこともありますので経過を追っていく必要があります。
②歯の神経が細くなってくる
歯をぶつけたりすると、歯の神経が入っているスペースがだんだんと細くなっていくことがあります。
③歯の神経が死んでしまう
脱臼などで血流が損なわれてしまったり、歯が欠けた部分からばい菌が入って感染を起こしたときは神経が死んでしまうことがあります。
歯の根っこが未完成のときは神経が死んでしまう可能性低いですが、永久歯で歯の根っこが完成する中学生以降では起こりやすくなります。
死んでしまった神経を放置したままだと、歯の根っこや歯の周りの骨に炎症が及び、溶かしてしまう危険性がありますので、早めに見つけて処置する必要があります。
子どもの歯の場合は、歯のグラつきなどが治った後も、継続的に状態をみていき、慎重な判断が必要です。
④歯の根っこが溶けてしまう
歯にうけた衝撃によって、歯の根っこが溶けて失われてしまうことがあります。
歯のグラつきなどの症状がなくなった後に、徐々に進行していきますので、継続的にみていく必要があります。
5.家庭で気をつけられること
口と歯のケガは幼児と小学生に多く起こります。
小学生は遊んでいるときに転んだりぶつかったりすることも多く、なかなか事前に防ぐことは難しいこともあります。しかし幼児の時期は家で過ごすことも多いので、家庭で気をつけられることもあります。
①生後半年以内
ベッドやソファーからの転落に気をつけましょう。
転落する危険性のあるところには寝かせないようにすることが基本です。
また硬いものや鋭いものも手の届かないところに置いておきましょう。
②ハイハイする時期
手も足も動かして発育にとっても大事な時期です。
しかし自由に自分で動き回れるので、ちょっと目を離した隙に階段や椅子から転げ落ちる可能性もあります。
階段に柵を設けたり、机などの角にぶつけても大丈夫なようにクッションとなるものを巻いたりする工夫が必要です。
③1歳を過ぎたら
いろんなところに手を伸ばしたり引っ張ったりすることもできるようになるので、引き出しや戸にぶつけてケガをすることも増えてきます。
低い目線で危険なものがないかを確認し、引っ張ったりできないようにしていきましょう。
また風呂場での転倒にも気をつけましょう。
6.OCEAN歯科からのメッセージ
口や歯をぶつけたと言っても、その後に起きてくる症状はさまざまです。
見た目には大丈夫だと思っても、目で見えない部分がどういう状態になっているかは詳しい検査をしてみないと分かりません。
子どもの場合、自分の言葉でうまく症状を伝えることができないためその場では泣き止んでも、食べものを食べなくなったりして初めて保護者の方がケガの重症度に気づくことがあります。
ちょっとしたケガでも、思ったよりも症状がひどい場合もありますので少しでも気になることがある場合は、早めに歯科医院を受診されてください。