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口の中が乾燥したり、ネバネバすると感じたことのある方はいらっしゃるのではないでしょうか?部屋の空気が乾燥するのと同じように口の中も乾燥します。部屋の中が乾燥したら、加湿器をつけたり、何らかの方法で室内を加湿しますよね。では、口の中が乾燥しないためにはどうなっているのでしょうか。
お水を飲んだりすると口は潤いますが、それだけでは水分を摂取した時しか潤いません。そうではなく、常時乾燥から守ってくれているものがあります。それが唾液です。
唾液は、いつも口の中を潤してくれるのが当たり前になっているため、そのありがたみに気づくことは少ないかもしれません。しかし、人間が生きていくためには、無くてはならないとても重要なものなのです。
もし、唾液の量が減ってしまうとどうなるでしょう。口の中が不快に感じたり、慢性的なトラブルを引き起こすこともあります。
以下のような症状がないかチェックしてみましょう。
【唾液の状態チェック】
・口の中がネバネバする
・口の中がパサパサする
・口臭がする
・口の中がヒリヒリする
・夜中に起きて水を飲む
・パサパサしたものや、乾いた食品が食べにくい
これらに当てはまる方は要注意かもしれません。
今回は唾液がどんな役割を果たしているかについて、ご説明していきます。
【唾液の役割】
唾液は、口の中が乾燥しないように潤いを保つだけではなく、ほかにもいろんな役割があります。
①自浄作用(じじょうさよう)
口の中の汚れを唾液で洗い流す作用で、洗浄作用とも呼ばれます。
汚れを洗い流すことにより、虫歯や口臭の予防にもなります。
②消化作用
口は胃や腸などと同じ消化器官です。食べものは、まず、口から取り入れられるため、第一消化器官とも呼ばれます。唾液の中の「アミラーゼ」と言う酵素が炭水化物を分解し、消化を助けてくれます。
③粘膜の保護・組織を修復する
口の中は硬い歯とやわらかい粘膜や舌が混在しています。やわらかい粘膜や舌が傷つかないためにも、唾液が重要な役割を果たしています。おしゃべりをしたり、食事をするときにも、唾液が口の中を潤してくれています。粘膜を傷つけにくくするだけでなく、唾液が口の中を覆っていることで風邪やインフルエンザ、などの感染症にも罹らないように保護してくれています。
④緩衝作用(かんしょうさよう)
口の中は、普通はPH6.8~7.0で中性を保っています。
唾液には炭酸・重炭酸・リン酸等が含まれていて、口の中のPHバランスが酸性とアルカリ性の、どちらにも傾かないように中性を保ってくれる役割があります。レモンなどの酸っぱいものを食べても、口の中のPHがずっと酸性に傾かないのはそのためです。
唾液はPHバランスを調節してくれる、大事な役割を持っているのです。
また、糖分が含まれたものを食べると、プラーク中の細菌が酸を作り出します。この酸が口の中のPHを酸性に傾かせます。PHが5.5以下になると歯は溶けてきてしまいます。
唾液による中和のバランスが崩れてしまうと、このように歯が目に見えないレベルで溶け出して、虫歯の始まりとなるのです。
⑤再石灰化作用
歯の成分として、カルシウムが多く含まれます。カルシウムは酸性に弱いため、食事などで口の中が長時間酸性に傾いてしまうと、歯のエナメル質という、表層の硬い層が脱灰してしまいます。脱灰とは歯の中のカルシウムやリンが溶け出すことです。
脱灰した歯を元に戻そうとする力を再石灰化と言いますが、唾液に含まれるカルシウムイオン・リン酸イオン・フッ素イオンがその役割を果たしてくれます。
⑥抗菌作用
口の中は食べものの入口であるので、常に外の雑菌が入ってくる場所です。入ってきた雑菌をやっつけてくれるのも唾液です。
唾液に含まれる、リゾチーム・ペルオキシダーゼ・免疫グロブリン・ラクトフェリンといった物質が口の中に侵入した細菌を抑制して、守ってくれます。 リゾチームは口の中だけではなく、涙や汗・リンパ腺などにも含まれているので、体内に侵入した細菌感染からも守ってくれています。これらは、免疫力を高めて生命を維持することに深く関わりがあります。
⑦潤滑作用(じゅんかつさよう)
唾液に含まれるムチンの働きによって口の中が潤うと、舌や喉が滑らかに動きます。そのおかげで、会話や食事がしやすくなります。
唾液がない状態では、食べものを食べたり、飲み込んだりすることはとても難しくなります。
唾液のおかげで、不便なく日常生活を過ごせるのです。
⑧溶解・味覚作用
食べものを食べた時、唾液がなかったら味を感じることが難しくなります。
食べものをかんで、唾液と混ざることで「味を感じる」ことができます。 味覚には【甘味】【酸味】【苦味】【塩味】【うま味】がありますが、唾液がないとこれらの味覚は感じることができません。 また味覚だけでなく、「安全なものなのか?」を口に入れたら一瞬で判断することもできますね。
⑨水分平衡
唾液の分泌には、体内の水分量を調節する役割もあります。もしも体内の水分量が少なくなると、喉や口の渇きを感じるようになります。すると、水分を補給したくなり、体内の水分量のバランスを保てるのです。
【唾液はどこから出ているの?】
ここまでで、唾液が果たす役割については理解していただけたかと思います。
では、唾液はどこから出ているのでしょうか?
実は、唾液は3つの器官から分泌されているのです。
①耳下腺
サラサラした唾液を分泌します。
②顎下腺
サラサラとネバネバ、両方の唾液を分泌します。
③舌下腺
サラサラとネバネバ、両方の唾液を分泌します。どちらかと言うとネバネバの方が多く分泌されます。
もしも唾液が出にくい方は、これらの唾液が出る部分をマッサージしたりすると、唾液の分泌が促されます。
【1日にどれくらいの唾液が分泌されているか?】
健康な成人の方で、だいだい1リットル~1.5リットルと言われています。大きなベットボトル約1本分です。 想像よりも多くの量ではないでしょうか。この唾液の量は、薬の副作用やストレス、加齢、糖尿病、放射線治療、透析治療、口呼吸、喫煙、寝たきり状態、不規則な生活などで減少することが分かっています。
また、唾液の分泌は自律神経が関わっているので、リラックスした状態(副交感神経優位)の時は血管が拡張され唾液も分泌されます。逆に、緊張状態(交感神経優位)の時は血管がキュッと収縮してしまうため、唾液の分泌も減少してしまいます。
緊張したときは口の中がカラカラに乾燥するのは、このような唾液の影響があるのです。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
今回は唾液の役割についてご説明しましたが、唾液があるのと無いのとでは毎日の生活が大きく異なってくることが分かっていただけたかと思います。
楽しく食事ができ、誰かとおしゃべりするためにも唾液は欠かせません。また、唾液の分泌量が減るとむし歯や歯周病になりやすくなったり、味覚障害が起こるなど様々なトラブルを引き起こします。
近年、歯科受診される方で口の中がヒリヒリするや不快感を訴える方が多くなってきました。口の中に違和感や不快感を感じたときは、歯科医院にてご相談ください。