- 〒261-0012 千葉県美浜区磯辺6-8-1-102
- 043-303-5077
ブログ
Blog
ブログ
Blog
昔はよく
「妊娠したら歯が悪くなる。」
「お母さんの歯のカルシウムがおなかの赤ちゃんにとられたから、歯がもろくなってしまった。」
ということが言われていました。
これらはもちろんすべてが事実ではありません。
実際に、妊娠すると口の中の環境が変わり、歯や歯ぐきの病気になりやすいのは本当です。
しかし、お母さんの歯などからミネラル(カルシウムなど)が子どもに栄養として与えられたのではなく、妊娠すると口の中の環境は劇的に変化して、むし歯や歯周病が進行しやすい状態になります。そして出産後にその症状を自覚することが多いので、このように言われてきたのでしょう。
妊娠時のお口のトラブルは、適切なケアによって予防することが可能です。
妊娠したらトラブルが起きやすくなることが分かっていれば、妊娠の予定がある段階で検診に通ったり、治療を終わらせたり、予防処置を受けたりすることもできます。
またご自宅でのケアの方法を今一度確認したり、妊娠中や産後に向けて、さまざまな対策を立てることもできます。
妊娠しても歯科治療を受けることは可能ですが、時期によってはおすすめできない場合もありますので、まずは治療が必要にならないように予防に取り組むことが第一です。
妊娠中のお母さんの歯・お口の健康を保ち、安心して出産を迎えられるように準備しておきましょう。
妊娠すると口の中の環境が悪くなりやすい状態になります。
つわりなどが続くとお口の中の手入れがおろそかになりやすく不衛生になり、口内炎ができやすくなったり、口臭が気になるかもしれません。
親知らずの周りの歯ぐきが炎症を起こして「智歯(ちし)周囲炎」になる妊婦さんもいます。
親知らずが斜めや横向きに生えてきた人は、妊娠してない状態でも歯みがきが難しいのですが、それに加えて、妊娠中は歯ぐきが炎症を起こしやすい状態です。
それまで痛みなど、何も違和感や症状がなかった親知らずが、妊娠すると急に痛みだしたり、歯ぐきが炎症を起こしたりということが起こってきます。
①ホルモンのバランスが変動する
女性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロンが増加したり、ホルモンバランスが変わることにより、さまざまな影響を口の中の粘膜や歯ぐきに与えることがわかっています。
具体的には、女性ホルモンは歯肉炎や歯周炎には原因となる特定の細菌の成長を促し、また妊娠中の感染に対する防御機能が抑制されてしまいます。
これは口の中の粘膜や歯ぐきに起こる感染に対する抵抗力の低下を意味します。
つまり、口の中に歯周病を起こす細菌が増えやすくなるのです。
このようなことから、今までお口のトラブルがなかった方でも、通常では起こらないような低いレベルの刺激で炎症を起こしてしまいます。
また、口内環境が不衛生になり、歯周病になると、早産や低体重児出産のリスクも高くなりやすいといわれています。
②つわりなどの影響で口の中の清掃状態が低化する
つわりや体調不良により歯をみがく回数が減ったり、奥のほうがうまくみがけなかったりするので歯ぐきが腫れたり、炎症が起きやすい状態になってしまいます。
③間食の回数が増えたり、すっぱいものが好きになったりして食生活(好み)が変化する
長い間、すっぱいものや甘いものが口の中にある状態が増えることにより、歯がとけやすい状態になり、むし歯などのリスクが高くなります。また、食事や間食回数が増えることで、歯垢(口腔内細菌)が増えてしまいます。歯がむし歯の菌にさらされる時間も増加してしまいます。
④歯科受診のタイミングを逃してしまう
どうしても妊娠中は体調が悪かったり、においがダメだったりして歯科医院への足が遠のく傾向にあります。妊娠中だけでなく、出産後もますます歯科医院へ行く時間がなくなり、そうしている間に口の中の環境は悪化してしまうことが多いのです。
⑤だ液の出る量が減少し、だ液の質自体も酸性に傾く
だ液の量が減ると、口の中がネバネバしやすくなります。
まただ液の働きも低下してしまうので、口の中の細菌が増えやすくなります。
口の中もむし歯になりやすい酸性に傾きやすいので注意が必要です。
妊娠中は口の中が炎症が起きやすかったり、食生活の変化からむし歯や歯周病になりやすいことから、普段以上にお口のケアに気をつけていただくことが大切です。
普段より食事や間食の回数が増えることや、好みが変わり、すっぱいものや糖分が多いものなどをダラダラと食べ続けてしまう場合もあるでしょう。
そんなときは、食後にはできるだけこまめなうがいや歯みがきを心がけましょう。
また、つわりのときは歯みがきが難しいこともあります。
少しでも気分のよいときに歯みがきをしたり、ヘッドが小さな歯ブラシを使ったり無理ない範囲でお手入れをしていきましょう。
もしどうしてもできないときは、ブクブクうがいをしたりと口の中に汚れがたまらない工夫をしていきましょう。
赤ちゃんや母体への影響が心配で、歯の痛みや違和感をガマンしたりする方もいらっしゃいます。しかし、歯の痛みをガマンしている方がストレスになったり、お腹の赤ちゃんへの影響も心配です。妊娠の可能性をお伝えいただければ、時期や症状に配慮した歯科治療をおこなうことができますので、必ず事前にお申し出ください。
赤ちゃんや母体の健康や安全に最大限の配慮をした治療をおこなっていきます。
時期によっては安全に治療ができる時期まで応急処置にとどめておいた方が良いこともありますが、症状などに配慮した歯科治療をおこなうことは可能です。
また、あらかじめ歯科治療の予定がある場合は、産婦人科の主治医にも妊婦健診のときに相談しておくのも良いでしょう。何か注意すべき点がある場合などは必ず治療の前に申し出られてください。場合によっては産婦人科の主治医との相談をおこなった上で、治療内容を決めていきます。
<妊娠中も受けられる治療と避けた方がいい治療>
治療が可能な時期はあくまで目安であり、個々人によって治療に耐えられる状況なのかは変わってきます。
通常はこの時期であれば無理なく治療を受けていただけますが、それ以外の時期に強い症状が現れた場合にも心配せずにご相談ください。
状態をきちんとご説明し、ご納得いただいてから、できる範囲での治療を実施します。
<歯科の治療に適した時期>
妊娠しているときに歯科の治療を受けるのにもっとも適しているのは、
妊娠中期(妊娠5~7ヶ月)と言われています。
歯科の治療に関しては、基本的には治療をおこなって悪い時期というものはないとされていますが、妊娠初期と妊娠後期の中盤以降は避ける方がいいと思われます。
<具体的にどんな治療ができるのか?>
・むし歯治療 → 妊娠5~7ヶ月
・歯周病の治療 → 妊娠5~7ヶ月
・クリーニングや歯石とり → 妊娠直後~7ヶ月(ただしつわりがひどいときは避けましょう)
<避けた方がいい歯科治療は?>
・ホワイトニング → 妊娠中のホワイトニングによる母体・胎児への影響が不明であるため。
・矯正治療 → 炎症が起きやすいため、矯正器具をつけてのご自宅でのケアが難しい。 レントゲン撮影が必要。
※レントゲン撮影だけでの母体・胎児への影響はないとされていますが、さまざまな状況などを加味して、積極的にスタートするのは望ましくないと判断されます。
<妊娠中の歯科治療で3つの心配>
①レントゲン撮影
歯科で撮影する範囲は、基本的に顎まわりなどの部位に限られます。
被ばくの量もごくわずかであり、防護エプロンを使用すれば赤ちゃんへの問題はないとされています。
②麻酔
歯科で使用する麻酔は、治療する一部分のみをしびれさせる局所麻酔であり、全身麻酔とは違います。また使用する量も少量であるため、赤ちゃんへの影響はないとされています。
麻酔成分が胎盤を通過することはありません。肝臓で分解され、尿と一緒にからだの外へ排出されます。
痛みを耐えて治療したりしてストレスがたまる方が赤ちゃんへの影響が大きいとされています。
③お薬
抗生剤は赤ちゃんへの影響を考え、原則的には使用することはありません。
痛み止めのお薬は、痛みの度合いを考え、どうしても必要な場合に限り、母体や赤ちゃんにとって安全性の高いものをお出しします。
妊娠中はできるだけ早めに歯科検診を受けましょう。
そのときに見つかった簡単な治療は早めに済ませられますし、複雑な治療が必要な場合は、妊娠4~7ヶ月の時期(安定期)におこなっていけます。
また、歯磨きのときに吐き気がして困るなど、妊娠時の症状それぞれに応じた対応、予防法もお伝えすることも可能です。
体調のよいときなどに無理ない範囲で、お気軽にご相談いただければと思います。
妊娠中の方は、全身的にもつらい時期かもしれませんが、歯の病気は(細菌)感染症でもあります。これから生まれてくる子どものためにも、できるだけ口の中を清潔に保つように心がけましょう。