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歯が溶ける?!「酸蝕症」ってどんなもの?|OCEAN歯科クリニック|美浜区磯辺の検見川浜駅より徒歩1分のOCEAN歯科クリニック

歯が溶ける?!「酸蝕症」ってどんなもの?


「酸蝕症(さんしょくしょう)」という言葉をTVなどで聞いたことがあるでしょうか。

具体的な症状や原因は分からなくても、なんとなく聞いたことがあったりするかもしれません。ここでは酸蝕症について、なりやすい飲食物や生活習慣などを解説していきます。

 

【酸蝕症とはどんな病気?】

酸蝕症とは、一言で言うと「酸によって歯が溶ける病気・現象」のことを意味します。
私たちの歯は、一般的な食事をする分には問題ないのですが、酸性の刺激に弱い性質を持っています。ですので、歯が酸にさらされやすい生活習慣があると、歯の一番表層を覆っているエナメル質やその内部の層である象牙質が徐々に溶けてきてしまいます。

 

【むし歯じゃないの?】

酸で歯が溶けると聞くと、まずイメージするのは「むし歯」ではないでしょうか。

むし歯はミュータンス菌に代表されるむし歯菌が歯に感染し、酸を作り出すことで歯を溶かしていく病気です。つまり、むし歯は細菌が感染することによって起こります。

しかしながら、酸蝕症の場合、細菌による関与はありません。むし歯菌が作り出す酸ではなく、食品などに含まれる酸性の物質によって歯が溶けていく病気なのです。

 

【どんなものによって酸蝕症は起こる?】

酸蝕症になる原因は、2つに大きく分けることができます。

1つは体の中から出てくる酸による内因性のものです。2つ目は、酸性の食品など外から取り込む外因性のものです。

①内因性の酸蝕症

内因性の酸蝕症は、主に胃酸が逆流してくることによって生じます。

過食症や拒食症などが原因で、嘔吐(おうと)をする機会が多い場合、胃酸が混じったものが口から体外へと出されます。その際に、歯が酸性の刺激にさらされ、歯の表層にあるエナメル質を溶かしていきます。

また、胃酸が逆流する「胃食道逆流症(GERD)」という病気も原因として挙げられます。この病気は、胃と食道とのつなぎ目が狭くなるなどの異常によって生じる症状です。嘔吐反射も促されることがあります。

その他には、アルコールを大量に飲む習慣があり、頻繁に嘔吐する方も酸蝕症になりやすいです。

②外因性の酸蝕症

外因性の酸蝕症は、酸性度の高い飲み物や食べ物を習慣的に摂ることによって起こります。

「酸性度が高い」というと、酸っぱいレモンやお酢を思い浮かべるでしょうか。しかし、気づかないところでも酸性度が高いものはたくさんあります。ジュースや炭酸飲料を始めとした清涼飲料水やワインなども実は酸性度が高い飲み物です。また、意外かもしれませんが、スポーツドリンクも注意しなければなりません。

スポーツドリンクは、水分だけでなく様々なミネラル成分も含まれているため、夏場の水分補給としてよく飲んでいる方も多いかもしれません。

甘くて美味しく、水より飲みやすいため、頻繁に飲んでいるのではないでしょうか。

スポーツドリンクを飲むことによって、もちろん水分補給にはなります。しかし、気をつけなければならないのが、大量の糖分が含まれていることと、酸性度も比較的高いことです。頻繁に飲むことで、実は酸蝕症のリスクが高まっているのです。

※まれな酸蝕症

外因性の酸蝕症で稀なものがあります。それは、酸性のガスを吸い込むことによっても酸蝕症になる場合です。これは特殊な場合ですので、関係ない方も多いでしょう。

気をつけなければならないのは、主に塩酸や硫酸、硝酸などのガスが発生する工場で勤務している人です。このような工場に勤務していると、外因性の酸蝕症になりやすく、基本的には職場の健康診断等で注意を促されていることかと思います。

酸蝕症の原因となるのは、必ずしも液体ではない一つの例です。

【酸蝕症でどんなことが起こるの?】

酸によって歯が溶けることが酸蝕症ですが、どのように歯が溶けていくのか、そしてどのような症状を感じるようになるかをご説明していきます。

①エナメル質が溶ける

酸によって、まずは歯の一番表層にあるエナメル質が溶け出していきます。

基本的に、歯が溶けるということだけで考えるとむし歯と変わりはないのですが、その歯の溶け出し方には違いが見られます。

むし歯は、一般的に、直径1~2mmくらいの狭い範囲からエナメル質が溶け出します。しかし、酸蝕症はその範囲が比較的広いのが特徴です。歯の表面全体が均一に溶け出していくこともあるでしょう。

②象牙質が出てくる

象牙質は、エナメル質に覆われています。エナメル質の下にある層である象牙質は、酸蝕症によってエナメル質が溶けると表に出てきてしまいます。これは、むし歯になっても同様です。

しかし、むし歯と酸蝕症は明らかに違いがあります。酸蝕症の場合は、歯が溶ける範囲が広いので露出する象牙質も多くなり、歯全体が黄色く見えるようになります。審美的にも影響を与えてしまいます。

③歯がしみる(知覚過敏になる)

象牙質には歯の神経が一部入り込んでいるため、象牙質が出てくると食事中の食べ物による刺激が直に伝わります。冷たいものや熱いものを食べたり飲んだりすると、通常のエナメル質に覆われている状態であれば感じることもない刺激を感じてしまいます。具体的には、歯がしみるようになります。象牙質知覚過敏症の状態ですね。

また、象牙質はエナメル質ほど強くはありません。酸に対する抵抗力も弱いため、むし歯のリスクも高くなります。

 

【酸蝕症の予防法】

口の中というのは、通常は中性に保たれています。しかしながら、飲食物や胃酸による影響で酸性度が高くなると歯は溶けやすくなります。では、歯が溶けないためにはどうしたらいいのでしょう。酸性の飲食物をすべて摂らなければいいのでしょうか?

実際、身近な食事の中にも酸性の飲食物は多く、健康に良いとされているものも多く含まれています。日常生活でこれらをすべて控えていくというのは現実的ではないでしょう。

そのため、酸蝕症を防ぐためには以下のことに注意していくことをおすすめしています。

①酸性の飲食物を口にした後は、水で口をゆすぐ

酸性度の高い飲食物を口にしても、その後にしっかりうがいや歯磨きすることで、エナメル質が溶け出すのを防ぐことが可能になります。

②酸性度が高い飲食物を、ダラダラと食べたり飲んだりしない

長時間口の中に酸性のものが入っていると歯が溶けリスクが高まります。

そのため、いつまでも口の中に入っていることやダラダラ食べ飲みをするのはやめましょう。気づかないうちに歯が脆くなってしまいます。

③寝る前に、酸性の飲食物を摂るのを控える

唾液には、酸性に傾いた口の中を中性に戻す作用が期待できます。また、歯の再石灰化を促す作用もあるため、唾液が出ていることは、酸蝕症の予防のためにも重要です。

しかし、寝ている間は唾液の分泌が少なくなります。

そのため、寝ているときは口のなかのpHが中性に戻りにくくなり、酸蝕症も進行しやすい状態になるのです。

④フッ化物を有効活用する

歯が溶ける現象である脱灰(だっかい)は、フッ化物を上手に活用することによって予防できます。フッ素は歯の再石灰化を促すだけでなく、酸に対する抵抗力も高めてくれます。

普段からフッ素入りの歯磨き粉を使用したり、歯科医院でのフッ素塗布を定期的に受けたりすることがおすすめです。

⑤病院に相談する

内因性の酸蝕症の場合、原因である摂食障害や胃食道逆流症を治すことが予防につながります。これらの病気は内科的な治療が必要ですので、まずは病院に相談することが重要です。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

酸蝕症は、皆さんが思っているよりも身近な病気です。歯が溶けるのはむし歯だけではありません。酸蝕症によっても歯は溶け出すことがあるため、十分な注意が必要です。

酸性の飲み物や食べ物が好きで、歯科医院にあまり通っていない方は早めに定期検診を受けてみるのもいいでしょう。気づいていないだけで歯が溶け出しているかもしれません。

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